中山七里著『もういちどベートーヴェン』|ピアノを捨てた岬洋介の再起をAudibleで聴く

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天才ピアニスト・岬 洋介(みさき ようすけ)が、ピアノから離れ、法曹の道を歩もうとしていた時期があります。

中山七里さんの「岬洋介シリーズ6作目」である『もういちどベートーヴェン』は、その空白を埋める一作です。

舞台は、2006年の司法研修所(埼玉県和光市)。

語り手を務めるのは、岬と同期の司法修習生・天生 高春(あもう たかはる)

ベートーヴェンを愛する天生から見た岬は、才能に恵まれながら、なぜかクラシック音楽を避け続ける不可解な男でした。

そんな二人が検察庁の実務研修で立ち会ったのは、絵本作家の夫を刺殺したとされる妻の取り調べ。

動かぬ証拠を前に取り調べが打ち切られようとしたそのとき、岬が口を開きます。

Audible版は2026年9月18日に配信開始。

実は、この作品のAudible聴き放題配信予定日は、もともと「2027年5月31日」だったのです。

中山七里さんファンとしては、この前倒しは嬉しい限りです。

ところで、ナレーターは、シリーズの『さよならドビュッシー』『どこかでベートーヴェン』と同じ呉羽藍依さん。

呉羽藍依さんは、本記事更新日現在、シリーズ6冊が聴き放題配信となっている「岬洋介シリーズ」全作品のナレーターを担当しています。

1作目の『さよならドビュッシー』から5作目の『どこかでベートーヴェン』まで聴いてきたあなたなら、懐かしい人に出会ったような想いで、作品に入り込めるでしょう。

この記事でわかること
  • Audible版『もういちどベートーヴェン』のナレーター・再生時間・配信日といった基本データ
  • 中山七里さんの「岬洋介シリーズ」が全作品のなかでどこに位置する作品なのか
  • シリーズ前作を聴いていなくても楽しめるのか
  • 音楽ミステリーでありながら法曹の世界を舞台にした、本作ならではの読みどころ
目次

中山七里著『もういちどベートーヴェン』の概要

まずは書籍としての成り立ちと、Audible版のスペック、そして物語の入り口を押さえておきます。

中山七里著『もういちどベートーヴェン』の基礎情報

  • タイトル :もういちどベートーヴェン
  • 著   者:中山 七里(なかやま しちり)
  • シリーズ :岬洋介シリーズ 6作目
  • 初   出
    • 『このミステリーがすごい!』大賞作家書き下ろしBOOK vol.20(2018年3月)〜vol.24(2019年3月)掲載分を収録
  • 単行本刊行:2019年4月/宝島社
  • 文 庫 化:2020年4月/宝島社文庫(『このミス』大賞シリーズ)
  • ナレーター:呉羽 藍依(くれは あおい)
  • Audible配信日:2026年9月18日
  • 標準再生時間:8時間54分
  • 受 賞 歴
    • 本作単独での文学賞受賞はありません。
    • シリーズの原点『さよならドビュッシー』が第8回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞を受賞しています

『もういちどベートーヴェン』の主な登場人物

  • 天生 高春(あもう たかはる)
    • 本作の語り手を務める司法修習生です。
    • ピアノ経験があり、ベートーヴェンを深く愛しています。
    • 同期の岬の才能に羨望と嫉妬を抱きながら、その人間性に少しずつ引き込まれていきます。
  • 岬 洋介(みさき ようすけ)
    • 司法試験をトップの成績で合格した司法修習生。
    • 特捜のエースと呼ばれる検事を父に持つサラブレッドです。
    • ピアノ経験者と見られながら、なぜかクラシック音楽を頑なに避け続けています。
  • 牧部 日美子(まきべ ひみこ)
    • 絵本画家。夫である絵本作家を刺殺した容疑で送検されます。
    • 犯行を一貫して否認していますが、凶器に付着した指紋という決定的な物証が存在します。
  • 牧部 六郎(まきべ ろくろう)
    • 日美子の夫で、絵本作家。
    • 夫婦で仕事を共にする機会も多く、関係者からは仕事の面で妻に厳しく当たっていたという証言が出ています。
  • 高遠寺 静(こうえんじ しずか)
    • 法廷の生き字引と評される元判事の伝説的教官。
    • 八十代にして矍鑠とした人物で、修習生たちに仕事の価値とは何かを問いかけます。
    • 中山作品の読者にはおなじみの存在、「静おばあちゃん」です。
  • 蒲原 弘道(かんばら ひろみち)
    • 司法研修所の検察担当教官。岬の資質に強く惹かれ、自分が籍を置く地検へ勧誘しようと動きます。

『もういちどベートーヴェン』のあらすじ

2006年、司法試験を突破した天生 高春(あもう たかはる)は、司法研修所で一人の同期と出会います。

岬 洋介(みさき ようすけ)、彼は現役でトップ合格を果たし、父は検察のエースという、絵に描いたようなサラブレッドでした。

岬はクラシック音楽の話題になると決まって口を閉ざします。

ベートーヴェンを何より愛する天生にとって、それは理解しがたい振る舞いでした。

羨望と嫉妬、そして苛立ち。感情を持て余しながらも、天生は岬から目を離せなくなっていきます。

修習の一環として、二人はさいたま地検に配属され、検事調べに立ち会うことになりました。

担当する事件は、絵本作家・牧部六郎の刺殺事件。

逮捕されたのは、妻で絵本画家の日美子でした。

六郎が仕事の面で日美子に厳しく当たっていたという証言があり、動機は十分に見えます。

加えて、凶器には日美子の指紋が残っていました。

本人は犯行を否認し続けていますが、証拠は動きません。

取り調べが打ち切られようとした、そのときです。

岬が、静かにある疑問を投げかけました。

日美子の態度に潜む不自然さ。

そこに引っかかった岬は、彼女の無実を証明するために動き始めます。

天生は監視役として、仕方なくそれに付き合うことになるのですが——。

法曹を目指す青年たちの日々と、一つの殺人事件。

そして、封印されたはずのベートーヴェンが、静かに物語へ戻ってきます。

「Audibleの聴く読書」をお薦めする3つの理由

本作の魅力に入る前に、そもそも「耳で読む」という習慣がなぜ続けやすいのか、その3つの理由を整理しておきます。

Audibleを薦める理由1、目を使わずに読書できる!

「Audibleでの聴く読書」をお薦めする理由、その1番目は、目を使わずに読書できることです。

活字を追い続けると、どうしても目が疲れます。

文庫の小さな文字がつらくなってきた、夜になると本を開く気力が湧かない。

そういう理由で読書から遠ざかった方は少なくありません。

Audibleなら、目を閉じたままでも物語は進みます。

照明の明るさも、老眼鏡の有無も関係ありません。

読書をあきらめかけていた方が、もう一度物語に戻ってくるための入口になります。

私ごとですが、筆者は読書は好きでした。

残念ながら、中年になって文庫版などを読むのが辛くなってきました。

2013年頃には、文字の大きさを自由に設定できる電子書籍(Kindle主体)に、読書を移行しました。

そして、そろそろそれも辛くなってきた2017年から、聴く読書・Audibleを始めた次第。

以来、私の読書のメインはAudibleになっています。

気になった作品は、同時に、Kindleも購入して、文字を大きくしてiPadで読んでいます。

Audibleを薦める理由2、「ながら時間」が読書時間に変化!

「Audibleでの聴く読書」をお薦めする理由、その2番目は、「ながら時間」が、そのまま読書時間に変わることです。

通勤の電車、食器を洗っている時間、散歩、庭仕事。

手はふさがっていても、耳は空いています。

1日1時間の隙間を積み上げれば、標準再生時間が8時間台の作品は9日ほどで聴き終わる計算。

「読む時間がない」という悩みは、多くの場合「本を開いて座る時間がない」という意味でした。

耳で読むなら、その前提そのものが変わります。

そして、「ながら時間」の活用という視点に立つと、さらに有用な機能がAudibleにはあります。

それは「倍速再生」。

標準再生時間 10時間の作品でも、「1.5倍速再生」ならば、6時間40分くらいで聴き終わります。

また、「2.0倍速再生」ならば、5時間で聴き終わります。

「2.0倍速再生」が未経験の人にとって、「2倍の速さで聴いても、頭に残らないでしょ、小説から感動など受け取れないでしょ」と思うかもしれませんね。

実は、人間の能力って凄いんです。

最初「1.2倍速」にすると、うんと速いな・・・と思うのですが、そのうち、「1.5倍速」、「1.7倍速」、「2.0倍速」と速めても、慣れるんです。

私は、齢 70で、2017年からAudibleを聴きまくっています。

最近は「1.5〜2.0倍速」の範囲で聴いていますが、小説の泣き所もしっかり感動して、泣いています。

「ながら時間」×「倍速」➡ たくさんの作品を楽しめます!

Audibleを薦める理由3、プロの朗読が物語の情景に深みを増してくれる!

「Audibleでの聴く読書」をお薦めする理由、その3番目は、「プロの朗読が、文字だけでは立ち上がりにくい情景を運んでくれること」です。

人物ごとに声色が変わり、間や緩急がつくと、頭のなかの映像はぐっと鮮明になります。

会話の多い小説や、感情の揺れを追う物語では、その差がはっきり出ます。

また、再生速度を調整できるため、聴き取りやすさは自分で合わせられます。

積んだままだった本を消化する手段としても、Audibleは現実的な選択肢です。

それから、読み手(=ナレーター)については、これだけは是非伝えておきたい、それは…。

ほとんどのAudible作品では、ナレーターは1人なのです。

その物語に登場人物が10人いたとして、ナレーターはその10人を異なる人物として読み分けるのです。

聴き手は、その読み方で、しっかり人物を区別できる。

これ、ものすごい能力です。

そういうプロ達が、作品に魂を込めて伝えてくれる、それがAudible作品なのです。

著者・中山七里さんについて

本作を味わううえで欠かせないのが、著者・中山 七里(なかやま しちり)さんという作家の輪郭です。

中山七里さんについての簡単なプロフィール

  • 名   前:中山七里(なかやま しちり)
  • 生年月日 :1961年12月16日(64歳)
  • 出   身:岐阜県
  • デビュー作:『さよならドビュッシー』(2010年)
  • 受 賞 歴
    • 『さよならドビュッシー』で、第8回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞
  • 通   称
    • 「どんでん返しの帝王」と呼ばれています
  • 主な著書 
    • 『護られなかった者たちへ』『連続殺人鬼カエル男』『総理にされた男』『ヒポクラテスの誓い』『テミスの剣』ほか多数

中山七里さんの主な作品(お薦め7作品)

  • 『さよならドビュッシー』
    • Audible聴き放題配信中/ナレーター:呉羽藍依/12時間51分
    • 第8回『このミス』大賞・大賞受賞のデビュー作にして、岬洋介シリーズの原点です。
    • 火事で全身に大火傷を負った少女が、それでもピアニストを目指す。
    • 本作を先に聴いておくと、岬という人物の異様さがよく分かります。
  • 『どこかでベートーヴェン』
    • Audible聴き放題配信中/ナレーター:呉羽藍依/11時間36分
    • 岬洋介の高校時代を描く一作。転入先の音楽科で才能を発揮した彼が、羨望と妬みの末に殺人の容疑をかけられます。
    • 『もういちどベートーヴェン』の直前を知るという意味で、いちばん近い位置にある作品です。
  • 『護られなかった者たちへ』
    • Audible聴き放題配信中/ナレーター:山口恵/12時間45分
    • 「宮城県警シリーズ」1作目。佐藤健さん主演で映画化されたヒューマンミステリー。
    • 生活保護行政の現実に踏み込みながら、最後にきっちり裏切ってきます。
    • 中山作品の社会派としての顔を知るならこの一冊です。
  • 『連続殺人鬼カエル男』
    • Audible聴き放題配信中/12時間29分
    • 「連続殺人鬼カエル男シリーズ」第1作。
    • 「第8回このミス」に『さよならドビュッシー』と一緒に投稿された作品。
    • 稚拙な犯行声明文と、猟奇的な殺害方法。どんでん返しに次ぐどんでん返しで知られる代表作です。
    • 後味の強さは相当なものですが、最後の一行まで気が抜けません。
  • 『テミスの剣』
    • Audible聴き放題配信中/ナレーター:丹沢晃之/13時間50分
    • 若手時代に自分が逮捕した男は、本当に犯人だったのか。
    • 冤罪というテーマに正面から挑んだ渡瀬刑事の物語です。
    • 聴き終えたあと、しばらく何も手につかなくなります。
  • 『ヒポクラテスの誓い』
    • Audible聴き放題配信中/ナレーター:石田嘉代/9時間42分
    • 法医学教室を舞台にしたヒポクラテスシリーズの第1作。
    • 死体は嘘をつかない、という一点を貫く光崎教授の造形が見事です。
    • 医療ミステリーの入口として最適です。
  • 『総理にされた男』
    • Audible聴き放題配信中/ナレーター:池添朋文/12時間3分
    • 「総理にされた男シリーズ」第1作。
    • 総理大臣にそっくりな売れない舞台役者が、替え玉として政治を動かしていくポリティカル・エンターテインメント。
    • 中山作品のなかでは明るく、痛快に聴ける一作です。

中山七里さんは、多作な作家です。

筆者 tao調べでは 17の作品がシリーズ化しています。

この全シリーズ、並びに、Audibleで聴き放題配信されているすべての作品を一覧で紹介しているこちらの記事もお薦めです!

ところで、前掲したお薦め7作品ですが、5番目の『テミスの剣』以外の6作品はシリーズもの、しかも、シリーズの第1作目なんです。

なぜシリーズ1作目が面白いかについては、前掲の「中山七里、全17シリーズ作品の一覧と読む順番」で書いていますので、ここでは省略。

なお、中山七里さんのシリーズ第1作を、Amazon内に一覧でまとめました。

作品選びにお使いください。

中山七里さんの著作における『もういちどベートーヴェン』の位置づけ

中山七里という作家は、法曹ミステリー、法医学ミステリー、社会派、ポリティカル・サスペンスと、驚くほど広い守備範囲を持っています。

そのなかで岬洋介シリーズは、デビュー作『さよならドビュッシー』から続く音楽ミステリーの系譜にあたります。

『もういちどベートーヴェン』が特異なのは、音楽ミステリーでありながら、物語の大半を法曹の世界が占めている点です。

司法試験に合格した修習生が、どのような研修を経て裁判官・検察官・弁護士へと分かれていくのか。

その過程が、事件の前段として丁寧に描かれます。音楽ミステリーを期待して手に取ると、いい意味で裏切られる構成です。

もう一つの特徴は、語り手が岬洋介ではないことです。

凡人を自認する天生高春の目を通して岬が描かれるため、読者は天生と同じ距離感で岬を眺めることになります。天才を内側から書かず、外側から観察させる。

この一手が、岬という人物の不可解さと、後半の展開を効かせています。

そして本作は、シリーズの年表でいえば「岬がピアノから最も遠かった時期」にあたります。

前作でピアニストの道が閉ざされたかに見えた彼が、なぜもう一度鍵盤に向かうのか。

タイトルの「もういちど」が何を指すのかは、聴き終えたときにはっきりします。

シリーズの空白を埋める一冊であると同時に、その後の岬を理解するための鍵にもなっています。

『もういちどベートーヴェン』のお薦めポイント3点

ここからは、この作品を「Audibleで」聴く価値がどこにあるのかを、3点に絞ってお伝えします。

『もういちどベートーヴェン』のお薦めポイント1

演奏描写が、音として立ち上がることです。

中山七里の音楽小説を語るとき、必ず話題になるのが演奏シーンの筆致です。

打鍵の速度、間の取り方、音色の変化。

それらが延々と言葉に置き換えられていきます。

文字で読むと、正直なところ、クラシックに詳しくない読者は途中で目が滑ることがあります。

実際、紙で読んだ読者からも「描写は凄いが実感が伴わない」という声が出る箇所です。

ところが朗読で聴くと、この長い描写が違って響きます。

文章そのものにリズムと呼吸が与えられるため、意味を追うのではなく、流れに身を任せる聴き方ができるようになります。

ベートーヴェンのピアノソナタを言葉で再構築するという著者の試みが、音声という形式と噛み合う。

これはAudible版ならではの体験です。

ナレーターは、岬洋介シリーズでおなじみの呉羽藍依さん。

『さよならドビュッシー』『どこかでベートーヴェン』も同じ呉羽さんが担当しており、シリーズを通して声が揃っています。

岬洋介という人物の声を、作品をまたいで同じ響きで受け取れる。

シリーズものをオーディオブックで追う醍醐味が、ここにあります。

『もういちどベートーヴェン』のお薦めポイント2

シリーズのなかでも聴きやすい長さに収まっていることです。

標準再生時間は8時間54分。

同じ岬洋介シリーズのAudible版と比べると、『さよならドビュッシー』が12時間51分、『どこかでベートーヴェン』が11時間36分ですから、本作は3時間前後短い計算になります。

通勤や家事の合間に1日1時間ずつ聴くなら、9日ほどで完走できる分量です。

この「短さ」は、内容の密度が低いという意味ではありません。

もともと雑誌に連載された短めのパートを積み上げて一冊にまとめた作品のため、章ごとの区切りがはっきりしています。

ながら聴きをしていて中断しても、話を見失いにくい構成です。

長編オーディオブックで挫折した経験がある方には、この作りはありがたいはずです。

さらに、法曹ミステリーとしての骨格がしっかりしているため、事件の輪郭が耳でも追いやすくなっています。

登場人物も、修習生のグループと事件関係者に整理されていて、人数が過剰ではありません。

「オーディオブックだと誰が誰だか分からなくなる」という悩みを持つ方にこそ、最初の一冊として薦めたい作品です。

『もういちどベートーヴェン』のお薦めポイント3

前作を聴いていなくても入れる、独立性の高さです。

シリーズ6作目と聴くと身構えてしまいますが、本作は司法修習生という新しい舞台に、天生高春という新しい語り手を立てています。

天生は岬の過去を知らない立場ですから、読者も天生と同じゼロ地点から岬を知っていくことになります。

この構造のおかげで、シリーズ未体験でも置いていかれません。

しかも本作は、「岬洋介とは何者か」を考える材料がいちばん揃っている一冊でもあります。

天才ピアニストである彼が、なぜ法曹を目指したのか。

そして、なぜその道を選ばなかったのか。

シリーズの他作品では前提として流される部分が、ここでは物語の中心に据えられています。

聴き終えたあと、多くの方は『どこかでベートーヴェン』や『さよならドビュッシー』を遡って聴きたくなるはずです。

まずは8時間54分、天生高春とともに、その隣にいる岬洋介を眺めてみてください。

中山七里著『もういちどベートーヴェン』に関するFAQ

  • Q1. Audible版『もういちどベートーヴェン』のナレーターは誰ですか。
    • A1. 呉羽藍依さんです。『さよならドビュッシー』『どこかでベートーヴェン』含む、現在聴き放題配信されている「岬洋介シリーズ」の全作品で、呉羽さんはナレーターを担当されています。
  • Q2. 再生時間はどのくらいですか。
    • A2. 標準再生時間は8時間54分です。1.5倍速なら約6時間、2倍速なら約4時間30分で聴き終えられる計算になります。
  • Q3. いつから配信されていますか。
    • A3. 2026年9月18日に配信開始となりました。もともとの配信予定は2027年5月31日でしたが、前倒しの配信スタートです。
  • Q4. Audibleの聴き放題対象ですか。
    • A4. 聴き放題対象かどうかは時期によって変わることがあります。最新の取り扱いはAudibleの作品ページでご確認ください。
  • Q5. Audibleは初めてですが、どう始めればよいですか。
    • A5. Audibleには30日間の無料体験があります。期間中に退会すれば料金は発生しません。まずは無料体験で1作聴いてみて、自分に合うか確かめる形がおすすめです。
  • Q6. オフラインでも聴けますか。
    • A6. はい。Audibleアプリに作品をダウンロードしておけば、電波の届かない場所でも再生できます。通信量を抑えたい方は、Wi-Fi環境でまとめてダウンロードしておくとよいでしょう。
  • Q7. 再生速度は変えられますか。
    • A7. 変えられます。ゆっくり聴きたい方は等倍以下に、時間を短縮したい方は倍速に設定できます。演奏描写の多い本作は、はじめは等倍で聴くほうが情景をつかみやすいかもしれません。
  • Q8. シリーズを順番に聴かないと分かりませんか。
    • A8. 本作から入っても問題ありません。新しい語り手の視点で岬洋介を知っていく構成のため、前作未読でも流れをつかめます。
  • Q9. 前に聴くとしたら、どの作品がよいですか。
    • A9. 時系列でいちばん近いのは『どこかでベートーヴェン』です。岬の高校時代を描いた作品で、本作の背景がより深く理解できます。
  • Q10. クラシック音楽に詳しくないと楽しめませんか。
    • A10. 詳しくなくても楽しめます。本作は物語の大半が司法研修所と検察庁を舞台にした法曹ミステリーで、音楽の知識を前提としない作りになっています。
  • Q11. 紙の本や電子書籍とはどこが違いますか。
    • A11. 内容は同じ完全版ですが、演奏描写の受け取り方が変わります。文字では追いにくい長い描写が、朗読では流れとして入ってくるため、音楽小説としての印象がかなり変わります。

まとめ

『もういちどベートーヴェン』は、岬洋介シリーズのなかでも異色の一冊です。

天才ピアニストの物語でありながら、舞台は司法研修所と検察庁。

語り手も岬本人ではなく、彼に嫉妬する凡人の同期・天生高春です。

読者は天生の目を借りて、不可解な天才を外側から眺めることになります。

絵本作家殺害事件という動かしがたい構図に、岬が投げかける一つの疑問。

そこから物語は静かに動き出し、やがて封印されていたはずのベートーヴェンが戻ってきます。

タイトルの「もういちど」が誰の何を指すのか。

それが分かる瞬間のために、8時間54分があると言ってもよいでしょう。

Audible版のナレーターは、シリーズを通して岬洋介に声を与えてきた呉羽藍依さん。

文字では読み飛ばしがちな演奏描写が、音として立ち上がってきます。

シリーズ未体験の方の入口としても、既読の方の再体験としても、十分に薦められる一作です。

この記事のポイント
  • Audible版は2026年9月18日配信、ナレーターは呉羽藍依さん、標準再生時間は8時間54分
  • 岬洋介シリーズ6作目だが、新しい語り手を立てた構成のため本作から聴き始められる
  • 音楽ミステリーでありながら、物語の中心は司法修習生の日々と一つの殺人事件
  • 演奏描写が多い作品のため、朗読との相性がよく、Audibleで聴く価値が高い
  • 続けて聴くなら、時系列で直前にあたる『どこかでベートーヴェン』がおすすめ
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